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hirano関数@2014/4/2 11:36
スニペット「火傷」

こんにちは、関数です。

今回のスニペットは「火傷」です。

 

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大勢の人々が海辺に寝転がって、のんびりと全身火傷を負っている。

 

海水浴のために来たものらしいが日光浴をしている。あまり海水には興味が無い様子とも見える。ばちゃばちゃやっているのは小さな子供ばかりである。

 

海水浴なる習俗が日本に広まったのは比較的最近のこと、明治時代からのことでこれははっきりしている。夏目漱石を読むとそれが分かる。漱石は国民的作家だから誰もが読んでいて、つまり、海水浴が明治以来のことというのは国民的常識であるというわけになる。

 

またそれは行楽と言うよりも或る種の、健康法として広まったものだった。海水浴は舶来輸入の代物で、ランプやビールやフロックコートと同じである。カイスイヨークとでも書いたらいいのかも知れない。

 

カイスイヨークは大いに普及して、夏の盛りになると人々はつい、カイスイヨークに出掛けなければ気が済まなくなった。おそらくカイスイヨークが最も人気を博したのは昭和五十年代、六十年代だったろう。大して金の掛からぬ手軽な娯楽、というのが良かったのだろうか。

 

尤も、混雑ぶりが全く手軽でなかった。今年は何万人が、何十万人がカイスイヨークのため某所に殺到しましたと報道が出るのも慣例だった。

 

平成二十年代ともなると、昭和期に比べて人心もかなり安定して来たから、カイスイヨークに殺到する現象は減少したように見える。ひょっとすると環境破壊がその一因という疑いもある。

 

夏が来れば何が何でも必死の形相で、カイスイヨークしなければならぬ必要が消えたのはめでたい。カイスイヨークに来ておいてニッコーヨークばかりする呑気もまた、結構なものだ。天下は泰平である。

 

そこへUFOに乗った地球外生命体の大軍勢が降りてきて、たちどころに海辺は阿鼻叫喚の有り様となった。征服や占領の意図は無かったらしく、地球人を拉致もせず、ビームライフル銃のような不思議な武器によって軽傷を受けた地球人は幾人かあったものの死者重傷者は全く出さないままに、地球外生命体たちはあっさりと帰って行った。立ち去る間際に、地球人の短期記憶をきれいに消して行った。

 

天下は泰平である。

 

日が暮れ始めて、人々はそれぞれの家へ帰って行った。中には、そんなに焼いたつもりもないのに、変だな、と肌がひりひり痛むのを感じている人が、幾人かいた。

 

 

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この短い話はこれでおしまいですが、

しかし言語の鎖は連なる。

次回のスニペットは「健康法」でお送りします。

 

※記事中の画像はウィキメディアコモンズより転載